昔は腰痛=高齢者というイメージで、腰の痛みは老化現象のひとつととらえられてきました。
しかし最近では、高齢者だけではなく若い世代までも腰痛に悩む人は増えてきています。
一説には腰痛に悩む日本人は1千万人以上いるといわれています。
ではなぜ、人間は腰痛になるのでしょうか?
人間が腰痛になるのは立って歩くから
人間が腰痛に悩まされる理由、それは進化の過程で二足歩行を手に入れたからだといわれています。
人類の祖先はサルと同様に、両手を地面につけてあるく四足歩行を行っていましたが、それが500万年前に二足歩行の生活を始めました。
四足歩行であれば背骨は地面と水平になり、余計な力がかかりません。
ですが、二足歩行になると、背骨は地面に対して垂直方向になり、運動による衝撃や体重などが重くのしかかるようになったのです。
背骨の仕組み
背骨は合計24個の小さな骨(椎骨)と仙骨、尾骨が連なって出来ています。
骨と骨の間には椎間板という軟骨があり、それがクッションのような役割をすることで衝撃を和らげたり、背骨を自由に曲げることができます。
立って歩くと、背骨に強く負荷がかかります。
特に「腰」の部分には、常に大きな負荷がかかるため、重いものを持ったり、激しい運動をしたりすると、突然腰痛になってしまうのです。
腰の筋肉繊維が断裂する。
腰の筋肉が炎症を起こしてしまう。
椎間板ヘルニアが神経を刺激してしまう。
腰痛の原因はたくさん考えられ、人それぞれ違ってきますが、根本的な原因は「腰に大きな負荷がかかるから」と考えていいでしょう。
腰痛になりやすいのは?
二足歩行をする人間は、他の動物に比べて腰痛になるリスクが高いのはわかりました。
でも、人間全員が腰痛になるわけではありませんね。
どんな人が腰痛になりやすいのでしょうか?
①姿勢が悪い
人間は背筋を伸ばして立っているときが、一番腰への負担がない自然な姿勢になります。
腰を曲げる姿勢を長時間とったり、常に猫背だったりすると、腰への負荷が高くなり、腰痛のリスクを高めてしまいます。
②筋力の低下
身体は骨だけで支えているわけではありません。
脊柱起立筋、腹直筋、腹横筋、腹斜筋などの筋肉が、骨と協力して支えあっています。
加齢や運動不足でこれらの筋力が弱まっていたとしたら・・・その分、背骨への負荷が高まってしまい腰痛の原因になってしまいます。
③肥満体型
肥満体型であることも腰痛の原因になります。
体重が重ければ、それだけ腰椎にかかる力も大きくなるからです。
肥満体型でさらに姿勢も悪ければ、それだけ腰痛リスクも上昇するでしょう。
④骨粗鬆症
腰痛の原因の一つに、腰椎骨折があります。腰の骨が外からの衝撃で損傷してしまうのです。
原因は加齢や栄養不足によって骨が弱くなっているから。
カルシウムなどの骨を強くする食生活と運動で予防することができます。
⑤心因性の可能性も
腰痛は心因性の可能性もあります。
腰に何の問題もないのに痛みを感じる。その原因は、過剰なストレスにさらされ続けること。
心因性の場合、普通の腰痛対策を行ってもまったく効果がないので注意が必要です。
ストレスをためず、腰痛を気にしすぎないことが大切です。
⑥他の病気が原因
腰に痛みがあるのだから、腰に原因があるとは限りません。
まったく別の内臓疾患が原因で腰に痛みが発生する場合があります。
消化器官の疾患や、女性なら子宮の疾患でも腰に痛みが出る場合があるので注意が必要です。
腰痛は自力で改善することができる
色々な原因を紹介しましたが、腰痛の原因はこれだけではありません。椎間板が骨と骨の間から飛び出してしまう「椎間板ヘルニア」も腰痛の原因としてとても多いです。
ですが、腰痛は基本的に「生活習慣」と「加齢」が原因で起こることが多い病気です。
適切に対処すれば自力で改善できますし、腰痛になりずらい体質になることもできるでしょう。
まずは、自分の腰痛の原因が何なのかを良く知り、それに対して適切な対策を行うのが重要ですね。
もちろん、病院でなければ対処できない腰痛もあるので、全部自分で解決するといスタンスでは腰痛を悪化させてしまう可能性もあります。症状によっては病院を受診するのも大切です。